TOP>がん治療の基本

ANK療法を実施する医師は標準治療として実施される三大療法「手術」「放射線」「抗がん剤」を否定するのではなく、原則ANK療法と巧く組み合わせることを考えます。

まず日本におけるがん治療の基本的なことを整理します。

日本では、がんで亡くなる方は増え続け、国民の3人に1人、男性に限れば2人に1人が、がんで亡くなると言われます。一方、米国ではここ数年、がん患者の死亡率が下がる傾向にあります。先進国中、日本は異常に、がん死亡率が高い国となり、今も下がる傾向が見られない、ともいわれています。
(年齢構成の補正をすると、少し下がり始めた、とする意見もあります。)

「早期発見、早期治療」は重要です。全てのがん細胞が発生部位に留まっている「限局性」の状態で、手術等によって切除された場合、概ね予後は良好で、再発もしない傾向がみられます。一方、「見えるところは全部、切った」後でも、既に微小分散がんが、方々へ飛び散っていた場合、再発や転移に至り、今、病院で行われている標準的ながん治療だけでは、延命を目的とした治療となり、更には手詰まりになってしまいます。がんと初めて診断された時、すでに進行がんということもあります。一口に、がんと言っても、様々であり、一人ひとり、すべて違うとも言われます。ただ、概ねの傾向として、「限局性」のうちに標準治療を受けられた方の多くは、命が助かるのに対し、がんが、転移性向(飛び散る性質)を獲得したあとから、標準治療だけに頼られた場合は、予後がよくありません。

5年相対生存率
限局タイプ 遠隔転移を伴うタイプ
胃がん 94.6% 3.1%
結腸がん 96.8% 8.0%
直腸がん 92.9% 8.2%
肝臓がん 29.5% 3.7%
肺がん 65.5% 2.4%
乳がん 97.9% 26.4%
子宮がん 93.2% 14.1%
出典:国立がんセンター「がんの統計2005年 部位別5年生存率」

後年、統計処理の基準がよく変わるようになったため、同じ基準で継続して統計を取っていた当時の統計がもっとも正確と考え、掲載しています。

一口にがんと言っても様々です。胃がんの5年相対生存率を比べると、発生部位に留まる「限局性」のものは95%。活発に転移し全身に拡散する「遠隔転移性向」が強いものは、わずか3%です。局所性のがんで亡くなる方はごく一部、一方、全身性のがんでは、ほとんどの方が亡くなるのが実態です。ここまで顕著に差が出ていますので、がんの性質を考える上で、部位よりも何よりも、いかに「転移性向」飛び散る性質を獲得したかどうかが重要ということを示しています。

がん細胞は、外敵ではなく、本人の細胞です。そのため、本人の正常細胞とそっくりですので、その中に紛れ込んだがん細胞を見つけることも、狙って攻撃することも、どちらも難しいのです。つまり診断も治療も簡単にはいかないということです。

がん細胞が正常細胞と異なるのは、

  • -1- 際限なく細胞分裂を繰り返し増殖することができる。
  • -2- 他の組織と接触しても、増殖を止めようとしないものが多い。
    (悪性度が高いものは、正常組織に浸潤していきます)
  • -3- なかなか、死なない。
    (正常細胞で活発に増殖するものは、入れ替わりに、沢山の細胞が死んでいきます)

がんの発生原因は諸説ありますが、発生以降については、概ね、イニシエーション(がんの発生)、プロモーション(緩やかな増殖)、プログレッション(急激な増殖)の三段階に分けられるという見方が定着しています。現代の技術では、1cm以下のがんを見つけることは大変、難しく、数mm以下ともなると、ほとんど不可能です。がんが発見されるのは、プログレッション段階に入った後のことです。

本人の自覚はほとんどなく、検査を受けても異常が見つからなくても、がんは密かに進行し、発見された時には、相当、進行していることも珍しくありません。一度、勢いがつくと、進行がんはあっという間に悪化しますので、迅速な対応が必要になります。

もう一つ厄介なのは、がん幹細胞です。がん幹細胞は、再発や転移の核になる「種」のようなものですが、放射線や抗がん剤には強く抵抗し、生き残ります。がん幹細胞がわずかでも飛び散ると新しい腫瘍をつくる元になると考えられています。

危険ながん(活発に遠隔転移するがん)は、「全身性」の疾患
局所療法(外科、放射線、重粒子など)で、全身性疾患の根治は無理

悪性度の高い、遠隔転移をする勢いの強いがんの場合は、全身性の疾患と捉えるべきであり、局所療法だけで制圧するのは無理があります。ところが、外科手術や放射線(エックス線)、あるいは最新の重粒子線や陽子線など、いずれも、局所療法です。

標準治療として実施される手術、放射線、抗がん剤は、原発性の初期がんを一時的に叩くのが得意です。がん細胞が発生部位から飛び散っておらず手術で全て取り除けば事実の完治とみなせる状態になります。

外科手術は分散してしまった微小がんには対応できません。
手術で見える塊は全部とれても、手術時点ですでに微小ながん細胞集団が方々へ飛び散っている可能性があります。
放射線も全身照射はできません。
再発や遠隔転移となれば、標準治療における全身療法として、抗がん剤を使うことが基本になります。抗がん剤は増殖中の細胞つまり遺伝子のコピーをしている最中の細胞に対して、無差別に遺伝子に傷をつけるようなものが多いです。つまり、勢いの激しいがんほど、よく効きます。がんに対して、一時的に大きな打撃を与えることは得意です。非常に増殖が速い白血病の一部や小さな子供のがんの場合、抗がん剤だけで、事実上の完治に至ることもあります。ところが抗がん剤は、薬剤耐性を招き、効果がなくなる時がきます。成人の固形がんの場合、抗がん剤だけで、がんが事実上の完治になることは、まずありません。更に抗がん剤は、免疫系に打撃を与え、中長期的には、がんの増殖を加速させることになります。
患者様の生命力を傷めず、むしろ回復させ、微小分散がんを全身すみずみまで叩くには、体内のがん細胞を狙い撃ちできる免疫細胞、特に、NK細胞を動員するしかありません。
特に正常細胞を傷つけることなしに、再発や転移の種になるがん幹細胞を傷害できるのは今のところNK細胞以外にみつかっていません。
日本では、国民皆保険制度により、ほとんどの国民が、保険診療として標準治療を受けられます。早期に治療すれば、救命できる心筋梗塞や、脳内出血で、自由診療のクリニックを探す人はいらっしゃらないはずです。ところが、進行がんの場合、保険診療では救命ではなく、延命が治療目的となりますので、保険診療以外の治療を探される方が続出するのは当然のことです。

残念ながら、細胞医療のみならず粒子線治療など先端医療の多くは保険適応になっていません。それどころか、欧米では、従来型の抗がん剤を追い越し、主流になった世界標準の分子標的薬でさえ日本では、ごく一部の部位しか保険適応にならず、使用制限も多く、本来の機能を発揮できません。このような状況の中で、がんという病気を克服するには、患者様ご自身のご判断で、保険診療と自由診療の両方を掛け持ちするしかありません。

  • *保険診療と自由診療を、同じ医療機関で受けることは、混合診療規制により、認められていません。大きな病院で保険診療により標準治療を受け、別の場所で自由診療を受けるのは合法です。
  • *大きな病院の主治医に、よその先端医療も受けることをどう切り出していいのかわからないというお話を伺うこともありますが、「患者治療選択権の自由」は保証されており、他院の治療を受けるのは自由です。ご不明なことがあれば、思い悩まず、ご連絡ください。

進行がんは、手強い病気です。標準治療をしっかり受けられ、それでも、延命目的となってしまいますので、並行して、先端医療も取り入れ、どちらの治療がいいのか、ではなく、使える治療は全部使うぐらいの考えで、異なる治療を集中的に実施する「集学的な治療」により立ち向かっていかないと、なかなか、歯がたちません。

医療が進歩した、と言いますが、未だに、体内の正常細胞とがん細胞を確実に見分ける技術は存在しません。確定診断のためには、体外に、「がんと思われる」組織を取り出して、病理検査を行う必要があります。
がんは、腫瘍組織を手術により取り出し、病理の専門医が病理検査を行った時点で確定診断が下り、それまでは、「がんの疑い」と考えられています。

病理検査では、個々のがん細胞や、腫瘍組織の形状から、転移・増殖能力を判断することもできます。また、がん細胞個々の遺伝子や、細胞表面物質の多寡なども検査できます。
治療の選択の判断のもとになる大変、重要な検査です。

画像診断は、ほとんどのがん患者さんが受けられる基本的なものです。ただし、かなり大きな腫瘍しか捉えられないなど制約も多く、体内に、がんが存在しないことを証明することはできません。

  • 確実に、がん細胞を捉える保証はない、また単独で確定診断は難しい
  • 1cm程度の腫瘍サイズが実用的な検出限界(およそ10億個のがん細胞)
  • がんを発見したときには、既に、転移している可能性がある
  • 治療後、全身に散る微小分散がんや、数ミリ以下の腫瘍を検出できない可能性大

腫瘍マーカーは、手術後のモニタリングによく用いられます。
血液検査で実施できますので、画像診断よりも頻繁に実施できます。
ところが、がん患者さんのほぼ半数ほどの方がどの腫瘍マーカーも正常値内、つまり使える腫瘍マーカーが一つもないという状況です。
腫瘍マーカーは、100種類近くが実用化されていますが、がん細胞特有の物質を捉えるものは一つも開発されていません。腫瘍マーカーは、正常細胞からもでてくるものです。数値データと、体内のがん細胞の数が比例するというような単純なものではありません。「腫瘍マーカーの意味を読む」のは、一般の方には難しいものです。ご自分で勝手にご判断せずに、お医者さんに見ていただいてください。

体内のがん細胞を確実にみつける診断技術は存在しません。そのため、どのような治療を受けられても、がん細胞が体内から一掃されたかどうかはわかりません。医学的には、「がんが治りました」と言えないのです。
標準治療でも、ANK療法でも、治療を受けられた後は、「経過観察に移行する」ということになります。画像診断や、腫瘍マーカーが使える人は腫瘍マーカーなどで、定期的に検査を受けていただき、異常がみられないことを確認し、異常がみつからない期間を延ばしていくしかありません。