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治療方針は医療行為の範疇に入り、提携医療機関が決めることになります。

ANK療法の具体的な治療の流れや手続きについては、スマホサイト https://www.ank-therapy.com/「治療を受けるには」をご覧ください。

なお、リンパ球バンク株式会社としては、提携医療機関に対し、治療よりも治験を優先させることは求めておりません。

ANK療法の治療効果をデータ化し、統計処理し、学会で通用するいわゆるエビデンスとするには治験とよばれるプロセスが必要です。そのためには、同じ状態の患者様多数を集め(同じ状態というのは観念的にそう言うだけで、現実には、お一人お一人症状や治療履歴、合併症の発症状況などが大きく異なり、同じ状態の人はいらっしゃいません)、標準治療のみを受けたケースと、標準治療プラスANK療法を受けたケースを比較し、他の一切の治療を拒否します。その上で治療結果の差を求める必要があります。 

いくつも問題があるのですが、ANK療法の治験を設計する場合、決定的に困ることは、治験は既存の標準治療の実施を前提としていることです。免疫系に打撃を与える標準治療と免疫系の力でがんと戦う免疫細胞療法を同時に実施しても、免疫細胞療法本来の効果を発揮できません。では、何も治療をしないケースとANK単独治療で、他の治療を拒否したケースを比較すればいいのかと申しますと、何も治療しない状態で、治験への協力のために検査だけ受けられる方はまずいらっしゃいません。 

治験というシステムは、一旦、体制が固まりますと、新しい考え方に基づく治療法が、なかなか割って入れない構造を持っております。

弊社としては、データとしての有効性よりも、あくまで患者様を助けるためにあらゆる可能性を探られる提携医療機関の姿勢を尊重します。結果的には、複数の治療法を併用することで、どの治療法が効いたのか証明にはならなくなりますが、やむをえません。遠回りのようでも、標準治療では不可能と考えられるケースでの著効例を一つずつ発表する機会や、標準治療が適用にならない類似の症例を複数あつめる機会を探り続けていく方針です。そのためには、患者ご本人様、ご家族や関連医療機関、多くの関係者の相当、積極的なご協力が必要となりますので、熱心に誠意をもってお願いし続けるほかありません。

ANK療法は自由診療であり、高額な治療費用を全額ご負担いただくことになってしまいます。臓器移植法が成立するまで臓器移植は保険適応(当時は「適用」)にならなかった様に新しい医療を保険適応にするにはその治療を規定する特定の法律が必要です。免疫細胞療法を特定する法律が存在しなかったために医師法に則り自由診療で実施する他ありませんでした。近年、細胞医療を規定する法整備が急速に進み企業が承認申請を行い、保険適応となる仕組みが整ってきました。ここまで何十年もかかっていますが医療とはそれ位ゆっくり仕組みが動くものです。今後は保険診療に組み込まれる方向を目指し、準備を進めています。ただしまだまだ問題があります。欧米で従来型の抗がん剤(殺細胞剤)を押しのけ主流になった分子標的薬でさえ、この国では個々の薬剤毎に特定の部位のがんしか保険適応にならず、相変わらず殺細胞剤の方が主流です。ANK療法の保険適応を目指しても、ごく一部の特定のがん種を選ばなければならず、他のほとんどのがん種は保険適応になりません。こうした制度上の問題をどうクリアするのか、また、承認申請には一般の方が想像もできないような莫大な資金が必要であり、近年の大型新薬のほとんどが欧米の巨大な医薬品メーカーが中心になって承認申請されたものです。こうした数々の問題がありますが、大手医薬品メーカーさんとの提携なり、可能な道を探りながら保険適応と更にその先の「適応拡大」を目指し続けます。

ANK療法のコスト削減については、他の療法との組み合わせに活路を見出そうとしております。NK療法の培養は他の免疫細胞療法よりも遥かに人手がかかります。また培養液も大量に必要です。培養コストを下げるのは容易ではなく、規模を拡大してもコストを下げる見込みは薄いです。そこでANK療法の効果を高める工夫により、少しでも少ない治療回数でより高い治療効果をあげ、治療費用の総額が下がる途を探ってまいりました。一つずつがん細胞をみつけて殺すANK細胞と、大雑把にがん細胞の総数を減らすのが得意な標準治療との組み合わせが一つの方策です。組み合わせによる効果と標準治療による免疫への打撃というマイナス面をどこで折り合わせるかが重要なポイントとなります。

一方、米国を中心に抗体医薬品や他の分子標的薬が続々と開発されております。薬剤ごとに、適用できるケースが限られており、まだまだ全ての患者様に適用できるものではありませんが、うまく併用できれば、高い相乗効果を期待できます。まず薬の力でがんの増殖を抑える効果を期待できます(分子標的薬はがんの増殖を抑えますが、殺しはしません。一部の正常細胞の増殖も抑えてしまうので副作用はありますが、化学療法剤ほど激しいものではありません)。分子標的薬は、がんの増殖を抑えている間に体内のNK細胞ががんを殺すことを期待するものです。そこへANK療法を実施することでより積極的にがんを攻撃することができます。

更に分子標的薬の中でも抗体医薬品と呼ばれるものは、ADCC活性という作用を活用します。ADCC活性により、NK細胞が通常よりも更に激しくがんを攻撃しますので、同じ数の培養ANK細胞を点滴で戻しても、抗体医薬品を併用すればより高い治療効果を期待できます。

がんは複雑な病気で原因も実はよくわかっていません。一方、免疫というと獲得免疫系を利用するワクチンのイメージが強く、本来、免疫の中心を担っている自然免疫についてはお医者様の間でもあまり理解されていないことが多いようです。がんと免疫について、科学的にわかっている範囲で、事実をお伝えしていくことが重要と考え、啓蒙活動に努めてまいります。

今後、ANK療法を受けることができる提携医療機関の数は増やしていきます。一方、ANK療法は医療行為ですので日本では特許は認められません。免疫細胞療法に関し、基本的な特許は日本では成立しませんので(周辺特許というのは可能ですが、それによって独占的な権利を確保することにはなりません)、特許をライセンスするということはありません。また、ANK療法の培養技術・ノウハウについては、パッケージとして文書化しライセンスすることが不可能です。と申しますのは、一人ひとり、NK細胞の状態が異なり、培養プロセスも、NK細胞の状態変化をみて日々、メニューが異なります。標準的な培養法でNK細胞を適切に増殖活性化させることは無理ですので、どうしてもこの培養法をマスターしたいという確固たる意思をお持ちの医師の方に(医師免許がなければ免疫細胞療法は実施できません)、京都の培養センターで修行を積んでいただくほかありません。